備忘録と、日々の泡


by tessai-bose
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花小金井


ちょっと前、花小金井というところに住んでいた。
木造のかわいい駅舎で、駅前から少し歩くと遊歩道沿いに畑が残っていて、無人の野菜即売所なんてものまであった。
花小金井、などというくせに華々しいところがちっともなく、言葉のイメージで住まいを決めたことをちょっと後悔したものだ。シモイグサとかタナシとかイオギとか、西武新宿線沿線の他の駅名があまりにすさまじいのが悪い。

花小金井を立ち退いてからしばらくして、住まいの真向かいにあった高校がまるごと移転したことに伴い、駅前の大規模開発が行なわれたと聞き、久しぶりに訪れて変わり様を愉しもうと思っていたが、ついグーグルストリートでチラ見してしまった。変わっているところはすげ替えたように劇的に変わり、変わらないところはまったく変わらないというような不思議な変わりようで、なんだか不自然な風景に思えた。
バイトの面接を落とされた本屋が、名前をポップに変えてしぶとく残っていた。
駅前の鄙びた個人病院も、大型スーパーの一角に化けていた。その敷地に大きな桜の木があって、その桜の木は、花小金井が花小金井であるための唯一の根拠であったのだが。

ぼくの中の花小金井はやわらかい春雨が降っていて、顔が見えない雑踏の隅に桜の花が陰鬱そうに煙って見えている。
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by tessai-bose | 2009-04-06 01:23 | 雑感